FUNK(ファンク)/FUNKY(ファンキー)とは?
数年前に世界を席巻した マークロンソンとブルーノ―・マーズの共作「UptownFunk」は
心地よいファンキーな音楽でした。
「UpTownFunk」/Mark Ronson featuring Bruno Mars
ところで「ファンク」「ファンキー」という言葉の意味を説明しろと言われてもピンとこないのではないでしょうか?
ある音楽評論家は、このように表現しています。
「七色に輝くもの、ビンビンに感じるもの、そしてセクシーで甘美なフィーリング」
または、よくこうも表現されます。
「内なるものの本質を解き放つこと」、「原始的なのだが、洗練を意味する。」
確かにFUNK(ファンク)・FUNKY(ファンキー)とは「感じる」ものなのかもしれません。
派手でキラキラなファンキー音楽の代名詞:Pファンク軍団総帥:ジョージ・クリントンの代表作をお聞きください・
「Atomic Dog」ジョージ・クリントン
ファンクの語源 (欧米編)
FUNK」の語源としてフラマン語/フランダース語の「恐怖や失望」などの意味を表す「FONCK(フォンク)」が挙げられます。
「FUNKY」の語源として、キナ臭い、強烈な臭いという意味のフランス語の「FUMER(フメール)」
と煙という意味のラテン語の「FUMUE(フムス)」が挙げられます。
それらから派生して17世紀ごろの英語では強烈な臭いという意味として「FUNKY」が使用されていたそうです。
(現在では死語のようです)
これらの意味からニューオリンズから誕生した黒人音楽のJAZZにおいては、ドロ臭い渋い音楽を「FUNKなJAZZ」と呼ぶこともあったといいます。
おそらく、当時の人種差別の残っていたアメリカ人は「FUNK」の意味する「失望、強烈な臭い」などの
負のイメージを蔑んでいた黒人に投影させていたのではないだろうか?
ボイスチェンジャーを多用したご機嫌なファンキー音楽。
「More Bounce to the Ounce(気分はザッピー)」/Zapp & Roger
ファンクの語源 (アフリカ編)
一方、アフリカで「FUNKY」の語源となる語は、
コンゴ語で強烈な臭いという意味の「LU-FUKI(ルフキ)」と言われています。
アフリカでの強烈な臭いは「負」の意味ではなく「誉め言葉」であるという。
アフリカでは人の体臭には「エネルギー」があるとされていて偉大な人物がいる時は、
その人物の体臭を嗅ぐことで「幸運」があるとされており、その事を「ルフキ」を感じると呼ばれます。
後の黒人ミュージシャンに多大な影響を与えたカリスマバンド「Sly&Family Stone」
Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin)/Sly&Family Stone
このように「ファンク、ファンキー」の語源となった言葉の意味である「臭い、体臭、憂鬱、失望」などのキーワードが交差して黒人特有の「ファンキーな音楽」を「ファンク」と呼ぶようになったようである。
黒人ミュージシャンがよく言う「原点への回帰」とは、黒人奴隷制でのアメリカで生活していた黒人にとって
「土臭い音楽」を演奏することは、まさに「原点(アフリカ)への回帰」なのでしょう。
そして偉大なファンクミュージシャンの音楽を聞くことは
「LU-FUKI(ルフキ)」を感じることに他ならないのです!
それでは、ファンク・ソウルの帝王「ジェームズ・ブラウン」を聞いて本記事は終了いたします。
ご堪能ください。
Sex Machine JAMES BROWN
参考文献:
FUNK(ファンク)/リッキー・ヴィンセント著:
出版:ブルースインターアクションズ(1998年)